![]() 「カムシャフトの加工専用機を作ってほしいとの要請があるんですが」—。 |
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ナグプルカ社長の考えは、実に理路整然としたものでした。「ピストンリング加工専用機には、初期工程でリングの内外径をCNCで楕円加工する機械がありましたね。カムシャフトも、ある意味では楕円加工。リング加工専用機の技術とノウハウを応用すれば、御社でカムシャフト加工専用機の開発ができるのではありませんか」—。確かに、ピストンリングとカムシャフトは楕円加工の曲率が異なるだけで、削る、磨くという工程についてはメカニズムやソフトウエアに共通性があります。「開発資金も提供してくれるというのだから、やってみるしかない」。こうして片岡の新たな挑戦が始まりました。 |
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「SCM-2NC」納入の際、現地研修を兼ねて、片岡社長は再びインドへ飛びました。明日帰国するという最終日、カミンズ・インディア社のナグプルカ社長のご厚意で、食事会が催されたときのこと。「次はカム研削盤(以下、カム研)をやりましょう」。ナグプルカ社長の口から出たのは、労いと感謝の言葉のほかに、新たな開発オファーだったのです。カム研削盤は、粗加工した後、砥石を回すスピンドルを油圧で浮かせる「ハイドロスタティックスピンドル」と、スライドさせる工程で一定の油圧を与えて浮かせた状態で制御する「ハイドロスタティックスライド」の、2つの核となる技術を要します。カムミーリング機の開発よりも技術レベルが格段に難しいところ、さらに「砥石ヘッドを2つにミーリングヘッド1つ、計3つの機能を1台に集約した複合機にしてほしい」との要望が追加されたのです。 |
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固定概念にとらわれることのない発想と、長年培ってきた技術で、お客様の要望を具現化していく片岡の開発スピリット。「カムシャフトの専用機の開発を」と、難題を持ちかけたカミンズ・インディア社へは、「SCM-2CN」、「SCG-1」など2010年までに4台の開発機を納入しました。この開発は、片岡にとって大きな実績を作っただけでなく、海外の大手メーカーからの絶大なる信頼を得て、同時にピストンリング加工専用機以外の新たなアドバンテージをもたらしたのです。 |